2024-06-20 16:37:00

テレワークのメリット・デメリットとは？ ――柔軟な働き方の光と影を考える コロナ禍をきっかけに急速に広がったテレワーク（在宅勤務）は、今では多くの企業で定着しつつあります。自宅やカフェ、コワーキングスペースなど、オフィス以外の場所で働ける柔軟な働き方は、働く人の価値観や生活スタイルを大きく変えました。一方で、便利さの裏には見えにくい課題も存在します。ここでは、テレワークの主なメリットとデメリットを整理し、これからの働き方を考えるヒントを紹介します。 ■ テレワークの主なメリット ① 通勤時間の削減による時間の有効活用 テレワーク最大の利点は、通勤時間が不要になることです。往復1〜2時間かかっていた通勤がなくなるだけで、1日あたり数時間の自由時間が生まれます。その時間を家族との時間や趣味、資格取得の勉強、健康管理などに充てることで、生活の質（QOL）が向上します。また、交通機関の遅延や天候の影響を受けないため、ストレスの軽減にもつながります。 ② 働く場所を選べる柔軟性 自宅はもちろん、地方や海外など、インターネット環境さえあればどこでも働けるのがテレワークの魅力です。転勤や引っ越し、家庭の事情で居住地が変わっても、仕事を続けやすくなります。地方在住者にとっては、都市部の企業に在宅勤務で就職・転職できるチャンスも広がりました。 ③ ワークライフバランスの向上 働く時間や場所を自分で調整できるため、家事や育児、介護との両立がしやすくなります。特に子育て世代や共働き家庭にとって、柔軟な働き方は大きな支えとなります。オフィス勤務に比べて疲労やストレスが減り、仕事への集中力が上がるという声も多く聞かれます。 ④ 生産性・集中力の向上 オフィスでは同僚から話しかけられたり、打ち合わせが多かったりして集中しづらいことがあります。その点、自宅では自分のペースで作業ができるため、集中力が高まりやすい環境です。実際に、テレワーク導入後に「仕事の効率が上がった」と感じる社員も少なくありません。 ⑤ 企業側のメリットも多い 企業にとっても、オフィス維持費や光熱費の削減、離職率の低下、人材確保の拡大などの利点があります。地理的な制約がなくなることで、優秀な人材を全国から採用できるようになる点も大きな強みです。 ■ テレワークの主なデメリット ① コミュニケーション不足 テレワーク最大の課題が、社員同士のコミュニケーション不足です。オンライン会議やチャットツールでやり取りはできても、雑談やちょっとした相談が減り、チームの一体感が失われがちです。情報共有のズレや誤解が生じることもあり、特に新人や異動直後の社員には孤独感や不安が生まれやすい傾向があります。 ② 自己管理の難しさ 在宅勤務では、勤務時間や作業環境を自分で管理しなければなりません。自宅だと気が緩みやすく、集中力を維持するのが難しいという声もあります。また、明確な勤務時間の区切りがないため、「気づけば長時間働いていた」というケースも少なくありません。仕事とプライベートの境界を意識的に保つことが大切です。 ③ 評価が見えにくくなる 上司や同僚に直接会わない分、努力や成果が見えづらくなり、正当に評価されにくいと感じる人もいます。特に成果が数値化しにくい職種では、「頑張っているのに評価されない」という不満が起こることもあります。企業側には、オンラインでも公平な人事評価制度を整える工夫が求められます。 ④ 自宅環境によるストレス 自宅での作業は、家族の生活音や狭いスペースなど、集中を妨げる要因が多い場合もあります。さらに、長時間パソコンに向かうことで運動不足や肩こり、目の疲れなどの健康問題も発生しやすくなります。働く環境を整える投資（デスク、椅子、照明など）も必要です。 ⑤ セキュリティリスクの増大 自宅やカフェなどで仕事をする場合、情報漏洩のリスクが高まります。パソコンの紛失、Wi-Fiの安全性、データ管理の不備など、企業側と個人双方の意識が求められます。セキュリティ対策を怠ると、企業全体の信頼を損なう可能性もあるため注意が必要です。 ■ テレワークを成功させるために テレワークを快適に続けるには、「自己管理」と「コミュニケーションの工夫」が不可欠です。 仕事と私生活の時間を明確に分け、オン・オフの切り替えを意識することが第一歩です。また、チームメンバーとの報告・相談をこまめに行い、オンラインでもつながりを感じられる環境を作りましょう。 企業側も、チャットやWeb会議などを活用した情報共有の仕組みづくりや、在宅手当・健康支援などの制度面の整備を進めることが重要です。 ■ まとめ テレワークは、「時間と場所にとらわれない自由な働き方」を実現する一方で、自己管理力やコミュニケーション力をより強く求める働き方でもあります。 メリットとデメリットを正しく理解し、自分に合った働き方を選ぶことが大切です。 これからの時代は、「オフィス勤務か在宅勤務か」という二者択一ではなく、両方を柔軟に取り入れる“ハイブリッドワーク”が主流になりつつあります。働く人も企業も、テレワークの利点を最大限に活かすための工夫と適応が求められています。